ストレスの「見える化」が変える海外生活—マレーシアでのGalini実証実験報告

Posted by Misaki Ikemoto on 7 5月 2026

マレーシア在住の臨床発達心理士・三好先生のご協力のもとでGaliniの実証実験が実現しました。三好先生はマレーシアで唯一の日本人臨床発達心理士として、クアラルンプールのToy Eightを主な拠点に活動されています。

日本人家族に限らず、児童発達支援や保護者支援、ペアレントトレーニングなど、日本的な療育を幅広く展開。言語指導、作業療法、デイリートレーニングといった多角的なアプローチで、子どもたちと家族に寄り添っています。

三好先生はこれまでも、認知行動療法やマインドフルネスをセッションに取り入れてきました。しかし、「手応えは感じるものの、効果が数字で見えにくい」という課題を長年感じていたといいます。

そこで注目したのが、EEGセンサー搭載デバイス・SenzeBandGaliniアプリを組み合わせたNeeuroのソリューション。脳波データをもとにストレス状態を可視化できる点が、三好先生の課題意識と合致しました。

 

Galiniを使ったストレスマネジメント実証実験のきっかけ

 日本人が海外に移住・赴任するということは、特に生活が安定するまでの初期において、日常的に高いストレスにさらされることを意味します。言葉が通じない、生活習慣が違う、サポートネットワークもない。そのような環境の中で、企業や教育機関は着任後すぐにフルパフォーマンスを求めます。今回のトライアルは、そうした課題に対して「テクノロジーで何ができるか」を探る試みでもありました。 

 三好先生は、Toy Eightでの児童支援に加え、マレーシアの教育機関でも教師の方々と接する機会があります。マインドフルネス指導や、ストレス・不登校・海外生活への不安といった相談に応じるなかで、先生方との信頼関係を築いてきました。あるとき、ご自身も別の目的でSenzeBandを使用していた三好先生が「こういうツールがあるのですが」と紹介したところ、教師の方が強い関心を示し、今回のトライアルへの参加につながりました。 

 

また、別の縁で知り合った企業経営者の方も参加者のひとりです。日本にいる頃からストレスが多く、「こういうものをぜひ試してみたい」という意向を持っていたといいます。

 

Galiniを使ったストレスマネジメント実証実験の概要

実施体制

本トライアルは、三好先生の監督のもと、マレーシアの教育機関および企業に所属する成人5名を対象に実施しました。期間はそれぞれ約1か月間す。

期間と方法

 

使用ツール: GaliniアプリおよびSenzeBand(1名はSenzeBandなし・アプリのみで実施)

  • 頻度・時間: 週3回以上、1回あたり10分のセッションを3週間継続
  • 評価方法: セッションの前後に、三好先生が独自に用意したストレスマネジメントカードを使用し、参加者自身が現在の心理状態を表現・記録。その変化を集計・分析しました。

 

 Mr.S After session C 

ストレスマネジメントカードは、感情や身体感覚、ストレス要因(ストレッサー)、対処行動(コーピング)の3種類から構成されており、それぞれを文字とビジュアルで表現したツールです。選ぶカードの種類や枚数の変化を追うことで、主観的な心理状態の推移を記録できます。

なお、1名はSenzeBandなしでアプリのエクササイズのみを実施しており、デバイスありとなしとの比較という側面も、今回のトライアルに含まれています。

S(ストレッサー)とR(反応)はセッション後減ることを、C(コーピング)は増えることを期待しています。

 

 

 

実証実験の結果とユーザーの感想

 セッション結果の比較のイメージ

1か月のセッションの前後における、5名の参加者のカードの種類と枚数の変化を示す表を作成しました。

 

Kさん Thought Leadership_Article_Images (3)
K さんは3指標すべてが理想的な方向に変化しており、セッション効果が最も明確です。特にCの+9枚の増加が顕著です。

Kさんご感想

「音を聞いて、ぼーっとする。音だけに集中する時間、 良い時間が持てた。夜すると、力が緊張が解ける。一回オフになる 」

 

Mさん Thought Leadership_Article_Images (4)

M さんはSが大幅減少(-11)と最も劇的な改善を示しています。Rは-2とわずかな減少にとどまりましたが、全体的に良好な結果です。

Mさんご感想

「よく眠れている。朝、すっきり感がある。色々考えてしまうので、集中して余計なことを考えなくて済む。ヘッドセットをつけていなくても、エレベーターの中で呼吸のエクササイズをするようになった。」

 

SさんThought Leadership_Article_Images (5)

S さんはC(+9)とR(-5)は改善方向ですが、Sが約+14と大幅に増加しました(After S画像では5列×約9枚の大規模な布置)。セッションを通じてストレッサーへの気づきが大きく広がった可能性があります。

Sさんご感想

「数字で状態が見れるのが良い。自分を客観的に見れて良かった。」

 

GさんThought Leadership_Article_Images (6)

Gさんは、ストレッサー(S)およびストレス反応(R)については、セッション前後で枚数にほとんど変化が見られませんでした。 

一方、コーピング(C)は他の参加者とは異なり、セッション後に枚数が減少しました。認知行動療法の観点では一般的にコーピングの増加が望ましいとされますが、本人と話し合った結果、異なる解釈が浮かびあがりました。 
 
多くの人や多様な方法に頼るスタイルから、特定の相談相手や自分自身による解決へとコーピングが「絞られていった」という本人の印象と、カードの結果が一致しいました。これはコーピングの「量」ではなく「質」の変化として捉えることができます。 

 

 Fさん(SenzeBandなしでアプリのみ実施Thought Leadership_Article_Images (7)

R(ストレス反応)が大幅に減少(−8)しており、セッションの効果が明確に表れています。C(コーピング)は増加(+2)。セッション後に「好きなテレビやユーチューブを見る」「『気にしない』と声に出して言ってみる」の2枚が新たに加わっています。 

 Fさんご感想

「集中するのは久しぶり。新鮮だった。穏やかな気分になった気がする。」 

 

Galiniストレスマネジメントでの発見・考察

 Galini-1 

今回のトライアルを通じて、最も重要な成功要因のひとつとして浮かび上がったのが、SenzeBandを自宅に持ち帰って使用できる環境でした。センター内でのセッションのみに限定してしまうと、参加者は「使い方を覚える」段階で終わってしまいがちです。継続的な使用環境を整えることが、効果の発現に直結すると考えられます。

 

効果が出やすい人・環境とは

今回の結果を踏まえると、Galiniの効果が特に現れやすいのは、真面目で継続的に取り組める方という傾向が見受けられました。毎回きちんとセッションをこなす方は、それだけデータが蓄積され、変化も見えやすくなります。一方で、「今日は面倒だからいいか」とセッションを飛ばしがちな方は、ストレス自体が高くないケースも多い状況です。

日本の学校教育の現場、日本・シンガポール・韓国といったいわゆる「ストレス社会」で働く方々特に真面目で責任感が強く、逃げ場を失いやすい方は、Galiniが特にフィットしやすい層だといえます。企業においても、ストレスで心が折れてしまう方の多くは、まじめに頑張り続けてしまうタイプです。そうした方にこそ、客観的なデータでセルフケアを促すGaliniの価値があると感じています。

 

今後の展望:データの活用可能性

今後さらに期待されるのは、日常生活の中でのデータ取得です。スマートウォッチのように常時データを計測できれば、「どの時間帯に最もストレスが高まるか」「どの場面で集中力が途切れるか」といった個人の傾向が、より精緻に把握できるようになります。

また、子育て支援の文脈では、「親のかかわり方がストレスの原因になっているのでは?」という仮説の検証にも活用できる可能性があります。データをもとに、ペアレントトレーニングとの組み合わせを検討するといった、より包括的なアプローチへの発展も考えられます。

 

Galini導入を検討する企業・教育機関のみなさまへ

Galiniの強みのひとつは、ひとつの正解に縛られない多様なエクササイズを提供していることです。ストレスマネジメントやリラクゼーションのアプローチは人によって異なります音楽で心が落ち着く方、呼吸法が合う方、指先を動かすことで集中できる方。Galiniはそれぞれの「合い方」に応じたセッションを選べる設計になっています。

今回のトライアルでも、「光の刺激が気になる」と感じてスマートフォンを伏せてセッションを行う参加者がいたり、目を閉じることで集中しやすくなったという声があったりと、個人差が鮮明に現れました。

「自分はどのタイプか」を最初に把握しておくことが、継続とセルフコントロールへの近道です。

導入時に自分に合ったアプローチを知っておくことで、日常の中でGaliniをすぐに、そして長く活用できるようになります。ストレスマネジメントをただの「義務」ではなく、自分自身のコンディショニングツールとして使いこなせるようになるそれがGaliniが目指す姿です。

脳の状態を“見える化”することで、集中力を整え、精神的負荷を理解し、長期的なメンタルの持久力を高めることにつなげる。 
そんな新しいストレスマネジメントが実現します。 

■ GaliniとSenzeBandの詳細はこちら 
(Neeuro公式サイト) 
https://www.neeuro.com/ja-jp/solutions/stress-management/galini

 
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