日本のブレインテック市場における脳波研究とデータ活用の最前線 ― SDK需要が示す新たな可能性

Posted by Misaki Ikemoto on 10 3月 2026


日本におけるブレインテックの普及には、技術だけでなく、それを社会に広めるプレイヤーの存在が不可欠です。 

ハコスコは、VR/AR技術を活用したコンテンツ制作やプラットフォーム開発を手がけてきた企業であり、「テクノロジーをより身近にする」ことを軸に事業を展開してきました。近年では、その知見をブレインテック領域にも広げ、脳波デバイスを活用した研究用途および民生用途の展開に取り組んでいます。 

デバイスの販売にとどまらず、研究機関や企業と連携しながら、脳波データの取得・可視化・応用までを見据えたエコシステム構築を目指しています。 
 
ハコスコの取り組みが、日本のブレインテック市場にどのような変化をもたらしているのかを紹介します。 
 

研究から日常へ:日本で広がる脳波活用の基盤  

ハコスコがブレインテック事業を立ち上げてから、6年以上が経過しました。取り組みの中心は、一般消費者向け用途と研究用途の二軸です。 

かつて脳波計(EEGデバイス)は研究室の中で扱われる専門機器でした。しかし近年はノイズ除去技術の進歩により、日常的に使用できるレベルまで進化しています。脳波は「特別な研究データ」から「活用可能な情報」へと変わりつつあります。 

一方で、日本市場におけるブレインテックの認知度は、他国と比較するとまだ高いとは言えません。「脳を測る」という行為への心理的ハードルも存在しています。また、スマートフォンアプリのみで完結する脳トレやリラクゼーションに関するツールが増える中で、「あえて脳波を測定する意味は何か」という問いも常にあります。 

医療領域への応用可能性はあるものの、現時点では研究用途およびヘルスケアとしての民生用途が中心です。まずはたくさんの人に使ってもらい、知ってもらうこと。それが、この市場における基盤づくりだと考えています。  

 

科学的エビデンスに基づくブレインテック導入の決断 

数あるEEGデバイス(脳波計)の中から、ハコスコがNeeuro のソリューションを採用した最も大きな決め手は、科学的エビデンスがあることです。シンガポールの研究機関である A*STAR との連携や、継続的に発表されている論文の実績は、信頼につながる要素でした。 

研究者がEEGデバイス(脳波計)から生データをゼロから解析するには多大な時間がかかりますが、「集中」や「リラックス」といった再現性のある一定の指標が整理された形で提供されることで、研究や開発のハードルが下がります。 

さらに、価格帯の面でもハイエンドな脳波計との棲み分けが可能であり、リアルタイム利用ができる点も、日本市場において現実的な選択肢となりました。 

Neeuro SenzeBand2の導入は単なる製品採用ではなく、エビデンスに基づいた戦略的な判断でした。 

 

脳波データ活用の広がり:研究・開発現場からの問い合わせ増加 

導入後、特に増えているのがSDK(Software Development Kit)に関する問い合わせです。Neeuro OS SDKを利用すると、SenzeBand2 を利用して独自のアプリを開発することでき、日本市場により適したソリューションを提供することが可能になります。 

現在日本で最も問い合わせが多いのは研究用途で、EEGの生データを取得し独自解析を行いたいというニーズです。加えて、ゲーム開発やカウンセリング用途(医療目的でないヘルスケア領域)、さらには開発会社からの技術的問い合わせも増加しています。 

用途は多岐にわたります。 

  • 瞑想トレーニング
  • 脳トレアプリとの連携
  • 集団計測によるパフォーマンス可視化
  • アーティストによるビジュアル表現
  • eコマースで購入後の活用相談

 

以前は研究室中心だったEEG技術の活用が、一般層にも広がりつつあります。集中やリラックスの可視化が、日常のパフォーマンス向上やストレスマネジメントのきっかけとして活用され始めています。

一方で、日本市場特有の課題もあります。認知度の低さ、施設導入時の現場理解の問題などです。eスポーツや競技スポーツ領域では、トレーニング時間を削ることへの抵抗もあり、導入には明確なメリット設計が求められます。

それでも、問い合わせの広がりは、日本におけるブレインテックの潜在需要を確実に示しています。

 

ブレインテック市場創出に向けた次のステージ 

現在、ハコスコが重視しているのは「まずデバイスを持つ人を増やすこと」です。

手元にデバイスがあれば、「このデータを活用してみたい」という発想が生まれます。そこからSDK活用やアプリ開発のニーズが生まれ、市場が形成されていきます。

目的や使用領域が明確になることで、アプリケーションの高度化や新たなサービス提供も可能になります。研究、教育、アート、ヘルスケア、パフォーマンス向上など、脳波データの応用領域は広がり続けています。

ブレインテックはまだ成長途上の分野です。しかし、日本においても「測る」段階から「活かす」段階へと確実に移行しつつあります。

 

 ハコスコについて  

ハコスコ(Hacosco)は、藤井医学博士が2014年7月に創業し、2023年に大日本印刷株式会社のグループ会社となった。現在、取締役CTOとして率いている。創業時はVRゴーグルの開発からスタートし、2020年にブレインテック事業にも参入。藤井氏は、2,700以上の新興企業や研究者が参加しており、最先端のテクノロジーと神経科学を結集したコミュニティ、ブレインテック・コンソーシアムの主催者でもある。 

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