マインドフルネスが広く普及した今も、心身が限界に近づく人は後を絶ちません。本記事では、「本当にリラックスできているのか」をデータに基づいて捉える脳科学の価値について解説します。
従来の方法だけでは不十分な理由:ブレインテックが明らかにする“ストレスの真実”

数年前、私は毎晩欠かさず瞑想と深呼吸を続けていたクライアントに出会いました。
静かに20分間座り、深く呼吸をし、周囲からは「ストレスマネジメントの意識が高い人」と尊敬されていました。 本人も「落ち着いてストレスをセルフケアできているつもり」でした——あの日までは。
眠れない。
思考が止まらない。
集中できない。
気づいた時には、深刻なメンタルヘルスの限界状態に陥っていたのです。
この出来事は、認知心理学者である私にとって大きな気づきとなりました。
ストレスを“感じているかどうか”に頼るマネジメント方法では、脳が本当に休まっているかは分かりません。
多くの人は、ストレスは「自分で気づけるもの」と思い込んでいます。しかし、実際には、脳は小さなサインを出したかと思えば、ある日突然悲鳴を上げます。
これこそが、従来のストレスマネジメントの限界です。
世界的には、現在の仕事で一度は従業員の77%が現在の仕事で一度はメンタルヘルスの限界を経験しているという報告もあります[1]。
その結果、多くの人が瞑想や深呼吸、ジャーナリングなどの方法に取り組みます。これらは主観的な“感覚”に頼るため、本当に効果が出ているかどうかを知ることができません。
自覚症状が出て初めて、ストレスが限界に達していたことに気づくことは、珍しいことではありません。
ニューロフィードバックが埋める「ガリニ・ギャップ」

私はこの“意図と実際の進捗のズレ”をガリニ・ギャップ(Galini Gap)と呼んでいます。
このギャップを埋めるのが、デジタル脳科学とブレインテックです。
自分の感覚ではなく、EEGヘッドバンド(脳波計測デバイス)を使い、リアルタイムで脳の状態を“見える化”することで、ストレスマネジメントを客観的・計測可能・個別最適化されたものへと変えていきます。
Neeuroのデジタル脳科学ソリューション「Galini(ガリニ)」は、 マインドフルネスにブレインテックを組み合わせ、ストレス状態をデータで理解する
という新しいアプローチを実現しています。
ユーザーは、ストレスやリラックスに関連する脳波(特にアルファ波)の状態や、
・どのくらいの時間でリラックスできたか
・その状態がどの程度維持されているか
などを確認できます。
従来の手法と異なり、「自分では気づけない脳の状態」を可視化し、ストレスを先回りしてケアできるのが大きな特徴です。
“なんとなく”ではなく、科学的なデータに基づいたストレスマネジメントが可能になります。
推測ではなくデータで整える:脳科学に基づくデジタルストレスマネジメント

ブレインテックの一つの技術であるニューロフィードバックは、感情調整やストレス軽減に役立つことが多くの研究で示されています。
・アルファ波を高めるニューロフィードバックは、メンタルの疲労の軽減や自己調整力の向上と関連しています。[2]
・落ち着きや集中力に関わる脳活動パターンを強化するという報告もあります。[3]
こうした研究結果は、デジタル脳科学が単なる流行ではなく、神経科学に基づいたアプローチであることを示しています。
Galiniは、
・精密
・個別最適化
・科学的根拠に基づく設計
という、新しい時代のストレスのセルフケアを可能にする存在です。
脳の状態を“見える化”することで、集中力を整え、精神的負荷を理解し、長期的なメンタルの持久力を高めることにつなげる。
そんな新しいストレスマネジメントが実現します。
■ GaliniとSenzeBandの詳細はこちら
(Neeuro公式サイト)
https://www.neeuro.com/ja-jp/solutions/stress-management/galini
著者について:Darwina Azmi
認知心理学者/Global Solution Manager。
脳科学とデジタル技術を活用し、世界中の人々の脳のヘルスケアとストレスマネジメントの向上を目指したソリューション開発に取り組んでいる。
翻訳・ローカライゼーション Misaki Ikemoto
References
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Deloitte (2024, June 5). Is a “covering culture” undermining your organization’s well-being efforts? Deloitte Insights. https://www.deloitte.com/us/en/insights/topics/talent/identity-covering-could-be-undermining-workplace-well-being-efforts.html
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Luctkar-Flude, M., Lawrynuik, A., Wall, E., & Tyerman, J. (2025). Investigating the effects of meditation technologies on nursing student stress and anxiety: Results of a pilot feasibility study. Teaching and Learning in Nursing. https://doi.org/10.1016/j.teln.2025.07.016
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Ganesan, S., Van Dam, N. T., Kamboj, S. K., Tsuchiyagaito, A., Sacchet, M. D., Misaki, M., Moffat, B. A., Lorenzetti, V., & Zalesky, A. (2025). Neurofeedback Training Facilitates Awareness and Enhances Emotional Well-being Associated with Real-World Meditation Practice: A 7-T MRI Study. Mindfulness. https://doi.org/10.1007/s12671-025-02671-z


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