スクリーンタイムは本当に悪い? 子どもの集中力・脳の発達を支える新しいデジタル活用法

Posted by Michelle Ho on 21 11月 2025

スクリーンタイムこそが脳の能力を開花させる鍵になる? 

いまの社会では、デジタル機器はもう避けて通れない存在です。学校、職場、交流の場、クリエイティブな現場、あらゆる場所にあります。とくに子どもたちにとっては、先生であり、遊び場であり、学びをつなぐ大切な窓口にもなっています。

それでも世の中では、「集中力の低下」「メンタルヘルスの不安」「社会性の欠如」など、デジタル機器へ触れる時間への懸念が根強く語られています。 

本当に問うべきなのは、「どれだけスクリーンを見るか」ではなく、「どんな目的で、どのようにデジタル体験を設計するか」です。 
 科学的な根拠に基づいて意図的にデザインされたスクリーン時間は、脳の働きを伸ばす強力なツールになり得ます。 


「整えられたスクリーン時間」は脳の発達を支えるツールに 

近年の研究では、注意機能の課題を抱える子どもに対して、コンピューターを用いた脳機能トレーニング(CCT)が集中力や実行機能の向上に役立つ可能性が示されています。

とくに、リアルタイムのフィードバックや難易度調整などが組み合わされたプログラムでは、より高い効果が期待されるとする報告[1]もあります。 

2023年のメタ分析では、CCTが注意機能の課題を抱える人の注意力や実行機能を有意に向上させることが報告されました。これらの能力は前頭前野が司る領域であり、とくにリアルタイムのフィードバックや難易度調整が組み合わさることで、より大きな改善が期待できることが示されています。 

こうしたプログラムは、ユーザーの能動的な参加を促し、個々に合わせた課題設定で適度な挑戦を与え、すぐにフィードバックを返します。その結果、脳が新しい神経回路を形成しながら再編されていく「神経可塑性」という自然な働きを引き出すことができるのです。 

 

臨床研究に基づくエビデンス:Cogo 注意力トレーニングプログラム   

Neeuro がシンガポールの A*STAR、Duke-NUS 医科大学、精神保健研究所と共同で開発した「Cogo 注意力トレーニングプログラム」は、デジタル介入として特に精密に研究されてきた取り組みの一つです。

10 年間にわたって行われた複数の臨床研究[2],[3],[4] では、注意機能に課題を抱える子どもを対象に、脳波(EEG)を用いたトレーニングプロトコルで効果が検証されました。 

研究の結果、プログラムを最後まで実施した子どもたちの 78% において、持続的な注意力や衝動のコントロールに関する指標が向上したという報告が得られています。これらの成果は、標準化された行動評価や脳活動データに基づいて確認されました。 

Cogo の構成要素—週 2〜3 回の連続したセッション、1 回 30〜40 分のトレーニング、ゲーム性を取り入れた課題設計、脳波モニタリング—が、こうした結果に寄与したと考えられています。

継続的かつ意図を持ったアプローチによって、日常生活にもつながる脳の働きの基盤づくりがサポートされたことが示唆されています。 

 

神経可塑性が働くプロセス 

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これらのプログラムの中心にあるのは「神経可塑性」という考え方です。 子どもが認脳の働きを伸ばすトレーニングのゲームに取り組むたびに、集中や記憶、自己コントロールなどに関わる神経経路が刺激され、繰り返し使われることで、そのネットワークがより強固で効率的に働くようになるとされています。 

この仕組みは、身体のトレーニングにたとえることができます。 継続的に運動を行うことで筋力や持久力が育まれるように、定期的なブレイントレーニングは、思考の柔軟性や粘り強さを高めることにつながると考えられています。

そして、アスリートがウェアラブルデバイスでパフォーマンスを可視化するように、脳波を測定するヘッドバンドは、トレーニング中の脳活動をリアルタイムで確認できるため、取り組み方の調整や学習の振り返りに役立ちます。

 

 

スクリーンタイムの未来をデザインする 

これからのスクリーン時間には、次のような要素が求められます。 

  • 科学的根拠にもとづいていること 
  • 継続しやすい明確な構造があること 
  • 依存性ではなく、健全な興味を引き出す設計であること
  • データやフィードバックを活用し、個々に合わせて最適化されること

これらの要素がそろったとき、スクリーン時間は単なる暇つぶしではなく、 脳の可能性を広げる新しい体験へと変わっていきます。

脳の可能性を広げるイノベーションへ

これからのスクリーン時間は、「目的を持った使い方」へと進化していきます。 

Neeuro の CogoNeeuroFITNeeuroBike などのブレイントレーニングプログラムは、デジタル体験が科学的知見にもとづき、個々に合わせて最適化され、学びや集中をサポートする形で活用できることを示しています。

これらのプラットフォームは単に楽しませるだけでなく、より健やかな集中状態づくりや、継続する力を育む体験を提供することを目指しています。 

Neeuroでは、ユーザーの“脳の働き”を理解したうえでデザインを行い、デジタル中心の社会で、人々がより学びやすく、集中しやすく、前向きに活躍できるソリューションを開発しています。 

すべてのスクリーン体験が、よりよい心のあり方につながる未来を一緒に創っていきましょう。 

 

About Michelle Ho: 
Michelle Ho is the Chief Operating Officer (COO) of Neeuro, where she leads global business growth and operational strategy, grounded by the real-world impact of Neeuro’s neurotechnology solutions.  

翻訳・ローカライゼーション Misaki Ikemoto

References: 

  1. Computerized cognitive training in attention-deficit/hyperactivity disorder (ADHD): a meta-analysis – PubMed 
  2. A randomized controlled trial of a brain computer interface based attention training  program for ADHD– PLOS ONE  
  3. Brain-computer-interface-based  intervention re-normalizes brain functional  network topology in children with attention deficit/hyperactivity disorder – Translational Psychiatry
  4. Home-based brain–computer interface attention training program for attention deficit hyperactivity disorder : a feasibility trial - Child and Adolescent Psychiatry and Mental Health

 

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Topics: 脳トレ, ニューロフィードバック, 脳の発達, ニューロサイエンス, デジタルトレーニング, メンタルヘルス, 集中力トレーニング, 脳の健康

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